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岡安 悟; 池田 博*; 吉崎 亮造*
Physica C, 378-381(1-4), p.462 - 465, 2002/10
新しい超伝導物質MgBは磁場中では超伝導特性が急激に悪くなる。この物質に電子線を照射し、照射前後のピン止め特性の変化を比較することでその特徴を調べた。電子線は原研高崎の静電型加速器を用い、25MeVのエネルギーで510e/cmの照射量を照射した。一般に電子線照射では結晶中の軽いイオンがはじき出され点欠陥を形成する。しかし試料が焼結体の場合は結晶粒の中に点欠陥を形成するよりは、むしろ結晶境界にダメージが加えられる。電子線照射をされたMgB焼結体は超伝導特性が悪くなる方向にピン止め特性が変化した。臨界電流密度は減少し、磁化の温度依存性でも超伝導分率が減少する。照射によって粒界にダメージが与えられることを考えると、粒界がこの物質の超伝導のピン止め特性を担っていることを裏付けているといえる。零磁場冷却後に磁場をかけた磁化率の温度変化を昇温で測ったものを詳細に調べると、電子線照射の試料では転移点近傍での振る舞いに飛びが見られる。照射によって弱められた粒界から磁束が試料内に侵入しているのがわかる。こうした現象は未照射の試料でも見られるが照射によってより顕著になる。
岡安 悟; 笹瀬 雅人; 黒田 直志; 岩瀬 彰宏; 数又 幸生*; 神原 正*
Physica C, 357-360(Part.1), p.501 - 504, 2001/09
溶融法で作製したイットリウム系高温超伝導体(QMG-YBCO)の強いピン止め特性を調べるため、照射により異なる2つのタイプのピン止め欠陥を導入し、ピン止めにおける照射効果の違いを比較した。プロトン照射では結晶のユニットサイズ(~直径15Å)程度の欠陥が試料に導入され、すべての動作温度域で1テスラの磁場付近でピン止め特性が改善された。3.5GeVのXe照射では試料内に直径10Å程度の円柱状欠陥が導入された。この欠陥は強いピン止め効果を期待されたが、もともと強いピン止め力を有するこの系ではあまり効果はなかった。しかしながら転移温度近傍の高い動作温度でピン止め力が回復する現象が観測され、円柱状欠陥によるピン止め力が高温で有効であることが示された。いずれの場合も、基本的なピン止め特性は、試料中にランダムに分布するY211の析出物が支配していることが明らかになった。
中野 牧人*; 荻窪 光慈*; 寺井 隆幸*; 山口 憲司; 山脇 道夫*
Physica C, 357-360(Part.1), p.277 - 279, 2001/09
BiSrCaCuO単結晶の中性子照射とその後の熱アニールによる特性変化について報告する。臨界電流密度()と見かけのピン止めエネルギー()を求め、これらが過剰な照射により減少するものの、照射後のアニールにより増加することを見いだした。673Kでアニールした試料では、20,40Kにおけるとは、アニール開始24時間後まで増加した。一方、1073Kでアニールした試料では、とはアニール開始数時間後まで増加した後、現象に減じた。これらの結果は、熱アニールによる欠陥構造の変化に違いが生じたことを示している。
荻窪 光慈*; 中野 牧人*; 寺井 隆幸*; 山口 憲司; 山脇 道夫*
Physica C, 357-360(Part.1), p.280 - 283, 2001/09
SiSrCaCuO単結晶の高エネルギー重イオン照射とその後の熱アニールによるピン止め特性の変化ついて報告する。重イオン照射(200MeV Auもしくは500MeV Kr; 510~510cm)後、試料を大気中でアニールした。臨界電流密度()のフルエンス依存性と、と見かけのピン止めエネルギー(U)のアニール時間に対する依存性は、Au照射とKr照射とでは様相が異なっており、照射によって生成する柱状欠陥の形,数や、回復挙動との違いと密接に関係していた。
笹瀬 雅人
放射線化学, 2001(72), p.42 - 45, 2001/08
高温超伝導体の材料応用においては、超伝導転移温度(T)ともに臨界電流密度(J)の向上が不可欠である。しかしながら従来までの高温超伝導体においては、電流を流すことにより磁束量子が動き、超伝導特性が急激に低下する問題点を抱えていた。これに対し著者は高速の重イオンを超伝導体に照射することにより磁束を固定化し、Jを向上させることに成功した。本稿では数MeV~数百MeVの広範囲なエネルギー範囲でイオン照射を行い、種々の照射条件における欠陥の形状、損傷の形態を高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察し、電子阻止能(S)及びイオン速度との関係等について検討を行った結果を中心に紹介した。本研究により照射イオンの阻止能(S)の増加とともに円柱状欠陥の直径も増加し磁束固定化の効果が高くなること、またイオン速度の極端に高い領域では欠陥形成とイオンが固体中を通過する時間スケールが近づくためにSだけでなく欠陥形成に与えるイオン速度の効果が無視できないことを明らかにした。
笹瀬 雅人; 佐藤 高広*; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Advances in Superconductivity XII, p.314 - 316, 2000/00
重イオンによる固体中でのエネルギー付与は、高エネルギーで高密度電子励起により、低エネルギーで原子変位により行われる。金属の場合電子励起は損傷形成に寄与しないが、半導体や絶縁体、超伝導体で円柱状欠陥を形成する。特に酸化物高温超伝導体の場合、この円柱状欠陥が磁束のピン止め点として有効に作用し、Jの向上を促す。酸化物超伝導体中に形成される円柱状欠陥の形成機構を明らかにするために、照射イオンのエネルギー付与量(dE/dx)の効果を電顕観察により調べ、観察結果の理論的な考察をTime Dependence Line Source Model (TDLSM)により行った。その結果、照射エネルギーの増加とともに、円柱状欠陥の直径が8.4nm~16nmに変化した。この電顕観察結果とTRIMコードにより計算したdE/dxをもとに、TDLSMにより円柱状欠陥生成に必要なエネルギー付与量を計算した。イオン照射により付与されたエネルギーの1/3が円柱状欠陥生成に寄与していた。
白石 健介*; 坂本 宏*; 弥野 光一*; 乙黒 靖男*
Japanese Journal of Applied Physics, 31(8A), p.L1037 - L1040, 1992/08
被引用回数:5 パーセンタイル:32.8(Physics, Applied)結晶したBiPbSrCaCuOに、2.4810m・sの線束密度で、3MeVの電子線を2.010mまで室温で照射し、直流四端子法によって臨界電流密度を温度の関数として測定した。外部磁場をかけないと、1.010mまで照射すると、65K以下の臨界電流密度が上昇する。この電子線照射の効果は測定温度が低いほど顕著である。この照射試料に0.04Tの外部磁場をかけて臨界電流密度を測定すると、25K以下の温度で僅かに臨界電流密度は上昇するが、0.8Tあるいはそれ以上の磁場中での臨界電流密度は、照射前の値に比べて小さくなる。電子線の照射量が2.010mになると外部磁場の有無にかかわらず、比較的低温度で測定した臨界電流密度は低下する。これらの電子線照射効果は、照射欠陥による磁束線のピン止め点の導入と結晶粒界などの界面にアモルファス層が生成、成長する過程が競合して起こることによるものであると考えられる。